ストリームレコーダーが使えない 2026 年、ブラウザで完結する m3u8 → MP4 ガイド
100 万人以上が使っていた Chrome 拡張「ストリームレコーダー(Stream Recorder)」が 2025 年後半から急に動かなくなった、という質問が Yahoo!知恵袋や X で増え続けています。「再インストールしても保存ボタンが出ない」「m3u8 を検出してくれない」「保存しても 0 バイトの MP4 になる」——これらは使い方の問題ではなく、配信側とブラウザ側で同時に進んだ技術的変化が原因です。
本記事では、なぜ動かなくなったのかを技術背景から整理し、2026 年現在ブラウザだけで完結する m3u8 → MP4 変換の手順を、合法的なユースケース(自分の配信、自前 HLS、教材コンテンツ)に絞って解説します。
なぜストリームレコーダーが急に動かなくなったのか
ストリームレコーダーが壊れたのは、Manifest V3 への強制移行と HLS の CMAF/fMP4 化という二つの変化が 2025 年に重なったからです。片方だけなら延命できましたが、両方同時だったので既存ツールは追従できませんでした。
一つ目は Chrome の Manifest V3 です。Google は 2024 年 6 月に Manifest V2 拡張の実行を段階的に停止し、2025 年中に企業ポリシー以外では完全に無効化しました。ストリームレコーダーが使っていた webRequestBlocking API は MV3 では declarativeNetRequest に置き換わり、ネットワークを読みながら動的に .ts セグメントを集めて結合するという従来の作りが構造的にできなくなりました。
二つ目は配信側の CMAF / fMP4 への移行です。HLS は元々 MPEG-2 TS(.ts)でセグメントを配信していましたが、2023 年以降の主要 CDN(Akamai、Cloudflare、AWS MediaPackage)はデフォルト出力を fMP4(.m4s)に切り替えました。Apple 自身も Low-Latency HLS の前提として CMAF を推奨しています。.ts 前提でファイル拡張子マッチをしていた古い拡張は、.m4s のセグメントを「動画ではない」と判定して取りこぼします。
加えて、多くの配信プラットフォームが AES-128 から Widevine/FairPlay などの DRM に移行したため、技術的に取得できても再生不能なバイト列しか得られないケースも増えました。これは後述するように、合法であっても解除できない領域です。
2026 年現在の代替ツール 5 種類比較
「Stream Recorder の代わり」で検索すると無数のツールが出てきますが、2026 年時点で実際に動くものは限られています。代表的な 5 種類を、自前 HLS や教材 m3u8 を MP4 にしたいという前提で比較しました。
| ツール | 形態 | CMAF/fMP4 対応 | サーバー送信 | インストール | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| VideoProc Converter | デスクトップ(Win/Mac) | ○ | なし | 必要 | 有料、起動が重い |
| WinX HD Video Converter | デスクトップ(Win) | △(更新依存) | なし | 必要 | UI が古い |
| FetchV / Video Downloader Plus 拡張 | Chrome 拡張(MV3) | ○ | なし | 必要 | 拡張ストアで頻繁に消える |
| yt-dlp | CLI(Python/バイナリ) | ○ | なし | 必要 | 学習コスト高、初心者には厳しい |
| cutfa.st | ブラウザ(Web) | ○ | ゼロ | 不要 | Mediabunny + WebCodecs ベース |
選択基準は人によりますが、「インストールしたくない」「会社 PC で管理者権限がない」「動画ファイルを外部サーバーに送りたくない」という条件を全部満たすのは現状ブラウザ完結型だけです。yt-dlp は最強ですが、ターミナルが扱えるユーザーに限定されます。
ブラウザで完結する m3u8 → MP4 の手順
cutfa.st は WebCodecs と Mediabunny 1.44 を使って、ブラウザのタブ内だけで m3u8 を MP4 にトランスコードします。サーバーには 1 バイトも送りません。手順は 3 ステップです。
- ブラウザで HLS → MP4 を開く
- m3u8 の URL を貼り付けるか、ローカルに保存した
.m3u8+ セグメントファイルをドラッグする - 「Convert」を押して、完了したら MP4 をダウンロード
10 分の 720p 動画でおよそ 2 〜 4 分(M2 MacBook Air 実測)。CPU ではなく GPU の VideoToolbox / MediaFoundation 経由でデコード・エンコードするため、同じスペックの Electron 製ツールより速く、ファンも回りにくい構成です。
URL を直接貼って動かないとき、つまり CORS でブラウザが弾く場合は、後述する「ローカル保存 → アップロード」方式に切り替えます。容量制限はなく、4GB の動画でも処理できます(ただしブラウザのメモリ次第なので、長尺は事前に分割推奨)。
ファイルサイズが大きすぎてストレージや LINE/Slack の送信制限に引っかかるときは、続けて HLS 圧縮 で再エンコードすれば、画質を保ったまま 30〜60% 削れます。
なぜブラウザ完結が今ベストなのか
「インストール不要」だけが理由ではありません。Manifest V3 と CMAF の流れの中で、ブラウザ完結型はむしろ将来性で勝っています。
第一にプライバシーです。動画ファイルがアップロードされない以上、社内資料や購入済み教材の m3u8 を扱っても外部に流出するリスクがゼロです。多くの会社で「クラウド変換ツール禁止」のセキュリティポリシーがありますが、ブラウザ内処理ならその規制対象外になります(最終確認は社内 IT に必ずすること)。
第二に Manifest V3 の影響を受けません。cutfa.st は拡張機能ではなく通常の Web アプリなので、Chrome の API 削除や拡張ストアの審査ポリシー変更で突然死することがありません。今後 MV4 が来ても影響しません。
第三に GPU を使えます。WebCodecs はブラウザから直接ハードウェアデコーダー / エンコーダーにアクセスする規格で、Chrome 94 以降と Safari 16.4 以降でサポートされています。Electron アプリと同じ性能が、追加ダウンロードなしで出ます。
第四に、CMAF / fMP4 / .ts のどちらが来てもデマックス側で吸収します。Mediabunny 1.44 は MPEG-2 TS、fMP4、両者が混在した HLS マニフェストすべてを読みます。「拡張子が .m4s だから検出されない」という旧来のバグはここでは起きません。
CORS で取れない m3u8 にどう対処するか
URL を貼っても「動画を取得できませんでした」と出るときは、ほぼ 100% CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の問題です。配信元のサーバーが Access-Control-Allow-Origin を cutfa.st に対して開けていないので、ブラウザがフェッチを拒否しています。これはセキュリティ機能なので「回避」ではなく「迂回」します。
合法な迂回手順は次の通りです。
- 動画再生ページを Chrome で開く
- F12 で DevTools を開き、Network タブに切り替える
- フィルタに
m3u8と入力、ページをリロードして該当のマニフェストを特定 - マニフェスト本体(
master.m3u8またはplaylist.m3u8)と、その中で参照されている.tsまたは.m4sセグメントを「Save as」で全部ダウンロード - 同じフォルダに保存したら、
.m3u8ファイル + セグメント全部を一緒に m3u8 ダウンローダー のドロップエリアにドラッグ
これでブラウザ自身がローカルファイルとして読み込むので CORS は発生しません。注意点は、相対パス参照で書かれた m3u8 はフォルダ構造を維持する必要があることと、AES-128 暗号化されている場合は .key ファイルも一緒にダウンロードしないと再構成できないことです。
DRM(Widevine / FairPlay)で保護されている場合は、ブラウザのセキュアパスで復号されるので生のセグメントを取得しても再生不能です。これは技術的にも法的にも触ってはいけない領域なので、対象外と割り切ってください。
FAQ
Q: DRM 付きの m3u8 を MP4 に変換できますか?
できません。cutfa.st は DRM の解除には一切対応していません。Widevine / FairPlay / PlayReady で保護されたコンテンツは、技術的にもライセンス契約上も復号できない設計です。自分が出力した HLS、自前配信、教材コンテンツのうち暗号化していないもの、または AES-128 で自分が鍵を持っているものに限って使えます。
Q: ライブ配信中の HLS を録画できますか?
部分的に可能です。Mediabunny はライブ HLS の読み取りに対応していますが、cutfa.st は VOD(Video On Demand)変換に最適化されているため、放送中のストリームを連続録画したい用途には HLS ライブレコーダー を使ってください。ただし低遅延 HLS(LL-HLS)の専用機能は実装していません。
Q: 対応ブラウザは?
Chrome 94 以降、Edge 94 以降、Safari 16.4 以降、Firefox は WebCodecs の VideoEncoder が 2024 年末から有効になり 130 以降で動作します。ハードウェアエンコードを使うので、Mac は M1 以降、Windows は第 6 世代 Core 以降を推奨します。
Q: 最大ファイルサイズは?
明示的な上限はありません。実測で 4GB / 90 分の動画は問題なく処理できますが、ブラウザのメモリ管理次第なので、長時間ものは事前に HLS トリム で分割するか、HLS 圧縮 で先にビットレートを下げると安定します。
Q: 字幕(WebVTT)も MP4 に焼き込めますか?
できません。これは現状の Mediabunny の制約で、cutfa.st も WebVTT のミックスダウンには対応していません。字幕付き MP4 が必要な場合は、変換後に HandBrake などで sidecar 字幕ファイルとして付ける運用にしてください。
Q: 合法的に使える範囲は?
自分が著作権者である動画、自前配信で出力した HLS、購入したオンライン教材で運営者が個人利用ダウンロードを許可しているもの、CC ライセンスの素材、社内録画など。逆に、ストリーミングサービスの保護コンテンツや TV 放送のサイマル配信は、技術的に取得できたとしても私的複製の範囲を超えるとみなされる可能性が高いので、利用規約と著作権法を必ず確認してください。本記事はあくまで合法的なユースケースを前提にしています。
ストリームレコーダーが使えなくなったのは、ある意味で潮目です。Manifest V3 と CMAF の流れに合わせて作られたツールに乗り換える時期で、ブラウザ完結型はその有力候補です。インストール不要、サーバー送信ゼロ、Manifest V3 影響ナシ、GPU 加速あり——これらが全部揃った代替手段が 2026 年に存在しているのは、ユーザーにとって悪い話ではありません。
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